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前回は、リョーマと不二との対照について書きました。
今日は、リョーマについて少し書いてから、不二の話に繋げたいと思います。
不二のキャラクターのありようというのは、リョーマというキャラクターと密接に関わっていると感じるからです。

リョーマという主人公は、相手が不二に限らず、基本的に他人の影響を受けにくいキャラクターとして描かれています。
しかし、これは少々不思議なことです。
通常、スポーツ漫画の主人公というものは、挫折を繰り返しながら、ライバルとの出会いを通し成長していくものだからです。
一方、リョーマについては、挫折というものが不思議なほど描かれません。
何しろ公式戦負け無しのキャラクターです。
例えば、作者が影響を受けたであろう80年代スポーツ漫画のスーパー主人公、天才大*翼でさえ、故障による挫折、いわゆる心が折れる瞬間を経験しています。
しかし、リョーマの場合、父親以外で唯一敗れた相手である手塚との一戦にも、その描写に挫折感はあまり伴いません。

挫折と、努力、その果ての栄光、という、スポーツ漫画独特のカタルシスを伴う一種泥臭い展開に、肝心の主人公リョーマはほとんど関わってこないのです。
しかし、読者は、テニ*リの中でそれらを味わうことができています。
それは、他のキャラクターが主人公のそうした役割を肩代わりしているからです。
挫折、努力、栄光、というキーワードが最もぴったりなのは、おそらく青学ゴールデンペアの二人でしょう。
物語前半で負けてばかりの二人ですが、そういう役割なのですから仕方ないのです。
他校にも宍戸など、そうした役割を担うキャラクターがいます。
このように、従来の主人公に期待される役割を多くのキャラクターが少しずつ担っています。
不二の、「なぜ勝たなければならないのか」という煩悶も、本来なら主人公が担うべきものなのです。

ところで、この、不二の問いに答えはあるのでしょうか。
私はこの問いというものは、答えがないもの、しかし問い続ける意味のあることだと思っています。
不二のこの問いは、言うなれば自分探しというような性質のものではないでしょうか。
自分を見せたくない彼は、本当は何も見せようがないのではないでしょうか。
なぜ勝たなければならないのか、なぜそれに意味が見出せずともテニスがしたいのか、何もかもが茫洋としているのではないでしょうか。
この問いは、「 なぜ生きなければならないのか」という、青春期独特の問いと同じ性質のもののように思えます。
この問いには、誰の人生においてもおよそ明確な解答は与えられないものです。
解答はなくとも、問い続けることをしなくなれば、おのずと解決する性質の悩みだからです。
結果には意味はなく、考え悩むという過程のみに意味があるのです。

前回も書きましたが、この不二の悩みはスポーツ漫画の登場人物には少々不似合いなものです。
私は、しかしここにこそ、テニ*リの新しさがあると感じます。
テニ*リはスポーツ漫画なのか、というのは冗談混じりであるいは揶揄としてしばしば語られますが、むしろスポーツ漫画を超えたものなんだと解釈できないでしょうか。
主人公が所属する学校の名前にあるように、作者が描きたかったのは青春そのもので、テニスは題材にすぎないのではないでしょうか。
だから、不二が抱くような、スポーツマンらしからぬ悩みも内包できるのではないでしょうか。
リョーマの対照として不二のキャラクターが提示されつつも、物語のセオリーを無視して不二の悩みが解決しないのは、解決しないことが青春の真理だからです。
また、一見スポーツマンらしからぬ不二の悩みは、実は青春期にはすべての人々が多かれ少なかれ抱くものです。
テニスのリアルから乖離したとしても、青春のリアルからは乖離していない、テニ*リとはそうした作品だと、私はとらえているのです。

わー長くなりました、まだ続くかもです笑。
リョーマについて書き残しがあるので、余力があれば書くかもしれませんし書かないかもしれません。
ではまた〜

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